てみた。
「――豹吉!」
その言葉は、無論唖の娘には聴えなかったが、お加代はさすがその娘の手前、恥かしそうに首筋まで赧くなった。
お加代は抱いていた手にぐっと力を入れて、豹吉の想いを引寄せるように、その娘の肩を引き寄せると、
「――東京で焼け出され、大阪へ流れて来て……」
と、さっきの話を続けた。
「――馴れぬ大阪でうろうろしているところを、親切に話しかけて来たのが、あんた、誰だと想う……?」
「…………」
唖の娘には無論答えられない。
「あの針助だったのさ!」
お加代は投げ出すように云った。
「――二階を貸してやるというので、これ倖いとついて行ったら、なんと女気なしの針助の一人世帯、ちいと薄気味わるかったけど、今時空間なんて貸してくれる人は、ざらにいるわけじゃない。早速二階を借りたところが、ある夜到頭……、いえ針助は女なんかに興味のある男じゃない。何もされなかったが、その代り刺青をされてしまったのさ」
「…………」
「刺青をされるまでは、真面目なタイピストだったけど、会社でちらちら腕の青いところが見えてはもうおしまい、どこへ行っても使ってくれず、背中に背負った刺青という重荷
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