が、気持は通じたのか、痩せた首を二度、三度たてに振って、
「う、う、う……」
 奇声を発しながら娘はふっと微笑んだ。
「あんた、おなか空いてるでしょう。何か食べようよ」
 お加代は娘の肩に手を掛けたまま、ハナヤの方へ並んで歩いて行きながら、
「――本当にひどい眼におうたわね。あの針助って奴はね。ガマン(刺青)の針助といってね。刺青にかけては西では一番という名人なんだけど、ああいう名人に限って、悪い癖があるのよ。人間さえ見たら、刺青をしたくてたまらないのよ。つまり刺青のマニアっていう奴ね」
「…………」
「いやがるのを無理に、脅したり、すかしたり、甘言を弄したりして、家へ連れこんでは、麻薬をかがせて、刺青をしてしまうのよ。あいつのために刺青をされた人間がどれだけいるか判りゃしないわよ。あたしだってその一人さ。――あんた、聴いてる……?」
「…………」
 唖の娘は相変らずキョトンとして、前髪の下ったお加代を見上げていた。
「そう、あんたは聴えなかったわね」
 お加代は苦笑したが、ふと思いついたように、
「――そうだわ。あんたの耳が聴えるのだったらこんな話はしないわよ。聴えないから、するのよ
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