んだら、今に背中の刺青にものを言わすようになるやろ」
「じゃ、あんた、もうこの娘っ子に……」
と、お加代は顔色を変えた。
「――刺青をしてしまったの……?」
「うん」
「一体、どこで拾って来たの」
「梅田の闇市や。飯を食べさせるったら、喜んでついで来よった」
針助はうふふ……と、下卑た笑い声を立てた。
「ごはんで釣って、こんな口も利けない娘ッ子に……」
と、お加代はきっと唇を噛んだ。
「――うむも言わさずに、刺青をするなんて、実際ひどいことをするのね」
針助を睨むように見ると、針助はふと狼狽の色を見せたが、やがて急に笑い出して、
「あはは……。永いこと刺青をせんからな。たまにはこういう大人しい娘の肌に、思う存分針を入れんと、淋しゅうて仕様ない。今日は久し振りにたんのうした。えへ、へ……」
そして、唖の娘の方を向いて、
「――おれも随分大勢の肌に針を入れてきたが、今日お前の背中にしてやった刺青ほど、会心の針はなかったんやぜ。誰に見せても恥かしゅうない刺青や。お前の背中は何万円出しても買えん背中やさかいな、口はものをいわんでも、背中にものをいわすような、一人前の姐御になりや」
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