加代に手を捩じられて、鳥のような奇声を出した。
「何さ、変な声を出して……」
 そう言いながら、お加代は娘の手から札束を掴み取ったが、薄暗がりですかしてみると、十円札は一枚しかなく、あとは五十銭札と一円札ばかり、全部で三十円にも足りなかった。
「なんだ。これっぽっちか」
 お加代はぺっと唾を吐いた途端に、
「あ、これは豹吉の癖だったっけ」
 と、にわかに豹吉のことを想い出した。
「――豹吉はどこにいるかしら。亀公が探していたっけ」
 いや、探していたのは、亀吉だけではない。お加代もひそかに豹吉の居所を探していたのだ。――会いたかったのだ。
 昼間、ハナヤで別れたきりの豹吉に、もう無性に会いたくて仕様がない。
 自分には振り向いてくれようとしないくせに、あのストリート・ガールにのぼせているような豹吉なんぞに、こんなに会いたいなんて、一体どうしたことだろう……。
「ヒンブルのお加代ともあろうものが……」
 と、そんな自分がいじらしいと思う前に、まず腹が立って、だから、一層いらいらした声で、
「あんた、これっぽっちしか持ってないの?」
 と、娘を睨みつけた。
「…………」
「返事ぐらいしたら
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