美味いもんは食べられるし……。フズーズボンチでも何でも……」
「阿呆! フルーツポンチや。フズーズボンチとちがうわい」
次郎はさっきと同じように、弟を叱りつけたが、ふと溜息をつくと、
「――しかし、三郎《サブ》公、どう考えても掏摸テぼろいな。人の靴のドロとっても一円にしかなれへんけど、掏摸はまるどりやさかいな」
「ほな、掏摸になったらええなア」
「…………」
「兄ちゃん、掏摸になって、わいに兄ちゃんの靴みがかして、二人前の金払ってくれて、ハナヤおごってくれたら、ええなア。兄ちゃん、掏摸になりイ」
「ふーん」
次郎は子供のくせに腕組みをして考えたが、やがて、
「――いや、やっぱし止めとこ。掏摸テええことと違う。強盗と同じこっちゃさかいな」
そう言った時、次郎ははっと眼を輝かせた。
自分の眼の前を、追われるように夢中で駆けて行く男の姿を見たのだ。
豹吉だった。
「あッ、掏摸さんだッ!」
次郎は思わず叫んだ。咄嗟に亀吉から頼まれたことづけを思い出した。
そして、三郎と一緒に、
「掏摸さん、掏摸さん、兄貴、兄貴!」
と呼びとめようとした。
もっとも、亀吉からのことづけがなかっ
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