なったが、
「だいいち、掏られるものなんか、持ってるものか」
と、突っ放すように言った。
が、亀吉は突っ放されず、もう一度、
「え、へ、へ……。けッ、けッ、けッ……」
黒い顔じゅう皺だらけにして笑うと、
「――チケットも持ったはれしめへんでしたか」
「チケット……?」
「荷物を預けはった……」
「あ。じゃ、貴様だなア……」
君が貴様に変った。
「え、へ、へ……」
「こいつッ!」
と、撲ろうとすると、亀吉は、
「あ、ちょっと、待っとくなはれ、待っとくなはれ。まア、きいとくなはれ」
「よし、きこう」
「実は、掏ったことは掏りましたけど、復員のお方のものを掏ったら悪いと、こない思い返しましてな……」
亀吉は頭をかいて、
「――あんたを探し出して、返そうと思って、かけずり廻ってましてン。――いま、返しまっさかい、堪忍しとくなはれ」
「ふーン」
小沢は思わず亀吉の黒い顔を、黒い顔だなアと微笑しながら、見つめた。
「――しかし、持ってないじゃないか」
「え、へ、へ……。売り飛ばしましてん。買い戻そうと思って、行ってみましたら、もう売れてけつかったちゅうわけで……」
「…………」
「
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