高い!」
と、思う前に、小沢はとにかく外で米の飯が食えるという意外な発見に、気持が浮き立っていた。
十五円という金がこの国の勤労階級の収入の、殆ど一日分――いや、それ以上の大金だということには、小沢は暫らく気がつかなかった。
その食堂に、どうして白米があるのか、毎日何百杯かのカレーライスを売るだけの米があるのか――ということも、考えなかった。
ただ、米があるということに安心していた。
「大阪へ帰れば、米は食えないぞとおどかしやがったが、なんのことだ、ちゃんとこうして、あるじゃないか」
食糧危機だなんて言葉は嘘なんだな――と思いながら、運ばれて来たカレーライスを食べていると、黝ぐろいむくみがむくんで、水が引いたように痩せおとろえた十六、七の薄汚い少女が、垢と泥が蘚苔のようにへばりついている跣足のまま、フラフラとはいって来た。
そして、中風やみのようにぶるぶる手足をふるわせながら、しょぼんと立っていたが、ふと小沢の足許に二、三粒の飯粒が落ちているのを見るとあっという間にしゃがんで、その飯粒を口に入れた。
小沢は思わず顔をそむけた。
「昔は乞食もこんな浅ましい真似はしなかった。
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