道子を見て、さすがに敏感に小沢と道子の仲をかぎつけた。だから、アベノ橋の宿屋では、小沢と自分との間に何一つやましいことはなかったということを、つけ加えることを、忘れなかった。
しかし、そのことを話しながら、雪子はふっと寂しかった。
「でも、あたしは汚れた商売女やもの」
雪子はひそかに自分に言いきかせて、諦めていた。
刑事は事情をきいて、釈然とした。それにガマンの針助をつかまえたという小沢の功労に報いるには、小沢の願いをきき入れてやるのが何よりだと思った。
夜の女であったということも、充分罪にする理由だったが、雪子も充分改心して地道な生活にはいると誓ったので、刑事は説諭と始末書だけで、釈放することにした。
やがて雪子は小沢の手によって針助の家から取り戻された着物に着かえて、刑事室を出ようとした途端、
「あッ!」
と声を立てた。
留置場からその部屋へ連れて来られる伊部の姿を見たのだった。
「やア。君か」
伊部も雪子を見ると、にやりと笑った。
伊部と雪子は知り合いだったのだ。
しかし、偶然はただそれだけではなかった。
雪子は伊部を見ると、すぐ伊部のうしろから刑事室へ戻
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