と、小沢は躊躇したが、考えてみれば宿なしだ。
夜も更けている。それに、まさかアベノの宿屋へも行けない。
「そうですね」
と、ちょっと考えるように言って、
「――じゃ、お世話になりますかな」
「はあ。どうぞ!」
道子の眼は急にいきいきと輝いた。
小沢はその眼を見ると、はっとした。
そして、お互い暫く言葉もなくじっと眼と眼を見合っていた。
道子の顔は何か上気して、ぼうっと赧かった。小沢は自分の顔の筋肉がこわばっているのを、意識してふと心の姿勢が崩れて行く危なさに、はっとした。
夜は次第に更けて行った。
が、作者はこの二人にとっては、かなり重要だった一夜を描写する暇をもはやもたない。先を急ごう。
なぜなら、翌朝小沢と道子がS署へ行った時、二人を待ち受けていた偶然の方が、作者にとって興味が深いからだ。
小沢と道子がS署へ出頭した時二人を待ち受けていた偶然とは――。
まず、小沢は雪子の係の刑事に会うて、雪子の釈放を求めた。
刑事は雪子を留置場から呼び出して、事情をきいた。
雪子ははじめ、なぜ裸のまま飛び出したのか、その理由を語ろうとしなかったが、小沢が傍から、
「君
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