びて来た。
「君たちは敗戦につきものの混乱と頽廃の園に咲いた悪の華だ。が、日本はもう混乱、頽廃から起ち直ってもいい頃じゃないか。それにはまず、悪の華をなくしてしまう必要がある。しかし、僕は何もいきなり刈り取ってしまおうとは思わない。それよりも、むしろ君たち悪の華が向日葵の花のようになることを、望んでいるのだ。悪の華は夜光虫の光に憧れる。が、向日葵は太陽の光線に向って伸びて行くのだ。夜光虫の光と太陽の光と、君たちはどちらを選べばいいのか。……むろん、太陽の光だ。夜光虫の光に憧れた君たちこそ、一層太陽の光に憧れなければならぬ筈だ。いや、君たちは内心ひそかに太陽の光に憧れている筈だ。……と、僕は思う、それとも君たちはあくまで夜光虫の……」
「判った」
豹吉はいきなり小沢の言葉をさえぎった。
「――判ったよ。自首しよう」
「えっ……」
「もう面倒くさくなった。自首すればいいんだろう。自首するよ。自首する勇気もないのかと思われたくないからな」
豹吉はぺっと唾を吐くと、
「――どうせ、雪子の救い出しに失敗して、ぶち込まれるにきまっているのだ」
と、ひそかに呟いた。
豹吉が単身このS署へ雪子
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