小沢に返そうとして持っている二千円の金を掏られて、その代り隼団から青蛇団の豹吉へあてた果し状がはいっていたことを知った――それからのことだ。
それから……。
小沢は亀吉と別れて、宿へ帰った。
が、雪子は既に宿にいなかった。
「着物がなくちゃ外へ出られない筈だのに、一体どうして著物を手に入れたんだろう」
と、小沢は不思議に思う前に、まず、
「――あれほどおれの帰りを待ってるように、念を押したのに、どうして、おれに黙って出てしまったのだろう」
と、腹が立った。
いや、むしろ、寂しかった。
「こんなに、おれが著物のことで奔走しているのに……」
という、何かすかされた気持から来る寂しさだけではなかった。
待っていると思っていた雪子の顔が、見えないという寂しさだった。
一夜を共に明しただけで、こんなに親しみ、いや、なつかしさを感ずるとは、一体どうしたことだろう。
その一夜、雪子のからだには指一本触れなかったのに……。いや、むしろそれだからこそ、一層なつかしさがあるのではなかろうか。
取りかえしのつかぬ気持だった。といっても、
「こんなことなら、昨夜なぜ雪子に強く出なかったの
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