葉に、ぷイと腹を立ててしまうほど、ヒステリックな女になっていた。
「あ、芳ッちゃん、どこへ行くんだ」
待ってくれと、京吉は肩を並べて歩き出したが、歩いているうちに、芳子の方が、
「どこへ行くの……?」
と、きいてきた。
「どこだか、おれ知るもンか」
あてがなかったのだ。そのうちに夜が来て、雨が降り、京極の知合いの店で、半時間たったら、返しに来るといって、借りた一つの傘の中に、もう四時間もはいっていた。
「ほんとに、あたしどうしたらいいの……?」
「おれ知るもンか」
「どこか、泊るところあるの……?」
「おれ知るもンか」
やがて、もうそんな話よりも、ダンスだとか映画だとか、とりとめない話をしながら、あてもなくトボトボと歩いていたが、しまいには話の種もつきて、黙々と白い雨足を見つめながら、惰性のように歩いていた。
芳子は、京吉が祇園荘へ行く自分をとめたのは、グッドモーニングの銀ちゃんに頼まれたからだと早合点して、京吉に駄々をこねて困らせてやることが、せめてもの腹いせだと、ダニのようについて離れなかったのだが、だんだん夜が更けて来ると、もう京吉と離れるのが寂しかった。雨も冷い。
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