は未練たらしく、いつまでも河原町通りの方へ、視線を泳がせていた。あの娘を探していたのだ。その女のことがあるから、京吉の財布を掏ったのだった。さきに自分が掏られたことへの腹いせでもあり、魔がさしたともいえるが、しかし、その闇の娘を買う金という目的がなかったら、実直で小心な北山には、ひとを掏るなどという大それたことは出来なかったはずだ。掏ると、すぐ人ごみの中へ姿を消した。約束の三時半にはまだ間があった。行きあたりばったりに歩いていると、悔恨と恐怖が追うて来て、ジリジリと背中を焼いた。歩いていることが怖くなり、北山は祇園荘へ飛び込んだ。マージャンは戦地でならったことがある。マージャンで時間をつぶして、セントルイスへ行った。が、その娘はいつまで待っても来なかった。その娘が昨夜、仏壇お春たちと一緒に検挙されたとは、むろん北山は知らなかったのだ。
 いらいらと待っていると、いきなり、
「おれはこんな所でボヤボヤしていてもいいのやろか」
 という焦躁が、蛇のように頭をもたげて、北山の右の手首へからみついた。スリ、悪事、手繩! 気の小さい男だった。北山はソワソワとセントルイスを飛び出し、京都駅行きの電
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