車に乗ったのだった。
そして、女への未練と、一刻も早く京都を逃げ出したい気持を、二本の電車線路のように感じているうちに、電車は駅前についた。
駅前の広場を横切る北山の足は速かった。カラ子はハアハア息をはずませて、チョコチョコついて行った。
七
改札口をはいって階段を登ると、狭い通路を繩で仕切った中に、旅行者の群が陰欝な表情を無気力にうかべて、しょぼんとうずくまっていた。誰も立っている者はなかった。
引揚者だろうか。それとも、汽車がはいるまで、その薄汚い通路で鈍い電燈のあかりを浴びながら、何時間も待たされているただの旅行者だろうか。ひとりひとりは独立の人格を持った人間だが、こうして群をつくっていると、もうそこから漂って来るのは、意志を失った一つの動物的な感覚のようであった。
人々は彼等の傍を通り抜けながら、ふと優越的な気持が同情に先立つらしく、さげすみの眼をちらと投げて行ったが、北山の眼はそんな旅行者が羨ましい眼付だった。
何もかも投げ出して、旅行者の中へもぐり込み、どこか見知らぬ土地へ行ってしまいたかった。うずくまっている旅行者の一人と、ふと視線が合った。何
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