態に意味をつけた。しかし、豹一自身気がついていないことだったが、彼がそんな風に黙っていたのは、なにか奇妙な困惑に陥いっていたからでもあった。彼は赤井の興奮に強いられて、その共鳴を表現することを照れていたのである。芸もなく赤井と一緒に興奮して、青春だ、青春だと騒ぐのが恥しいのである。つまり彼は自分の若い心に慎重になっていたのだ。美しい景色をみて陶酔することを恥じる余り、その景色に苛立つのと同じ心の状態で、彼は赤井の若さに苛立っていたのである。豹一は告白という、青年につきものの行為を恥しく思う男だったのである。彼のように興奮にかられ易い男が、他人の興奮に苛立つのはおかしいと人は思うかも知れないが、しかし豹一の興奮には多少とも計算がまじっていた。だから彼は他人の若い興奮の中にも見えすいた計算を直ぐ嗅ぎつけてしまい勝ちだった。
 赤井は豹一が少しも自分に共鳴しないのを見て、酔わす必要があると思った。豹一だけが自分の心を解してくれる唯一の男だと思っていたのである。丁度京極の端まで来ていた。赤井は先に立って、花遊小路の方へ折れて行き、
「この小路の玩具箱みたいな感じが好きなんだ。僕はいつも京極へ来
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