ぐらいの甘い気持で、編輯室を辞した。
外に土門が待っていた。
「どうだった?」
「馘首じゃなかったです」そう言うと、土門は、
「そうだろう? おれの言うことに間違いはないだろう? 感心したろう?」
「はあ、感心しました」
「二円貸してくれ」
この際、こんな風に金を借りられることもなにか気持が良かった。
「ああ」軽く答えて、俸給袋を取りだしながら、すっかり心が軽くなっていた豹一は柄にもない冗談をふと言ってみたくなった。
「あのね、土門さん。お貸ししますがね。この前の借金はあれはもう何年ぐらいあとでかえしていただけますか?」
土門の手に金を渡しながら、そんな拙い冗談を言った。思い掛けない豹一のそんな冗談に土門は瞬間あっという顔を見せたが、さすがに、
「じゃあ、とにかく内金を入れて置こう。さあ、二円かえしたよ。帳面から引いといてくれ給え」今豹一から受け取ったばかしの金を、再び豹一にかえした。「ところで、その金で飯を食おうじゃないか」
「食いましょう」豹一はさすがは土門だと、げらげら笑いながら、言った。
支那料理屋を出ると、あたりはすっかり黄昏の色だった。豹一はそのまま土門と別れて帰る
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