てたんや? えらい心配してたんやぜ。君、物凄い立廻りやった言うことやな」笑いながら言った。
「はあ。そのことでお詫び……」と、豹一が言いかけるのを、終いまで言わさず、
「構へん。構へん。気にしなや。よその新聞に書かれたぐらいで気にしたらあかん」
「でもあんな風に書かれましたら、……」
「どない書きよっても構へんやないか。君はなにか、中央新聞の記事を認めるのんか。中央新聞の威力におそれを成してるのんか。君は中央新聞の廻し者とちがうやろ? そやろ? そんなら、あんな記事黙殺したら良えやないか。それよりうちの新聞にひとつ良え記事書いてえな」その言葉で、馘首ではなかったことがはっきりわかったも同然だった。
豹一はこれまであらゆる人間を敵愾心の対象にしていた。人を見れば泥棒と思えのでん[#「でん」に傍点]で、人さえ見れば自尊心を傷つけて掛って来るものと思って、必要以上に敵愾心を燃やしていたのである。
ところが、そうした編輯長の大阪弁まるだしのとぼけた話し振りに接していると、なにかしみじみとした雰囲気に甘くゆすぶられる想いで彼は敵愾心に苛立っている日頃の自分の醜さに恥しくなった。豹一は泣きたい
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