「返答、なんと? なんと?」
「恥しいのは、お互いさまだ。てめえの歳はいくつだと思ってやがるんだ」
「おお、よくきいてくれた。五十だ。隠しはせん」
「隠せるもんか?」
「なにをッ、こののんだくれ!」
「なにをッ、てめえには五円貸してあるぞ!」北山はそう言ったかと思うと、今までその存在を全く無視していた豹一の方を向いて、「君、こいつにいくら借りられた?」
豹一は彼等のふざけた問答にすっかり腹を立てていたから、それに返辞しなかった。土門が代って答えた。
「三円だ」そう言って、土門は、「紹介しよう」と、豹一を北山に紹介した。「毛利君だ。ほやほやの新聞記者。――こちらはピエロ・ガールスの座附作者であらせられる北山老人」
よろしくと豹一が頭を下げると、北山は瞬間別人のように改った表情をちょっと見せて、「これは、これは……。何ぶんともに……」と、古風な挨拶をした。
やがて三人はその喫茶店を出て、歌舞伎座の方へ歩いて行った。いつもはあくどい感じに赤黒く輝いている千日前通も、今夜は雪のせいか、しっとりとした薄明りに沈んでいた。人通もふしぎなくらいまばらだった。豹一は土門や北山のあとに随いて行き
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