五十なら、おれも五十歳だ。年に不足はあるまい。ただ、おれはだね、貴様のように未だうら若い生娘に手をつけないだけだ。――なに? 下手人はほかにある? 白っぱくれるな! おい! ピエロ・ガールスに悪漢はちゃちな海賊船ほどいるがね、あのいたいけな、なよなよした、可憐な東銀子のような娘を食うのは、ピエロ・ガールスひろしといえど、貴様のような助平爺ひとりだ! 白っぱくれてもらわんときまいよ。おい! 泣きながら踊ってたぞ! 冷血漢め! 電話掛けたのは、貴様の老いぼれた顔を見たくないからだ。ありがたく思え! 顔を見れば、噛み殺してやる! いいか、覚悟しろ! ――なに? 会いたい? よし会ってやる。――おれが今どこに居るかぐらい探せばわかる。半時間以内におれの居所を探しだせ! それまでに貴様の汚ない顔を見せなけりゃ、弥生座を焼いてやる! ――左様、おれは坂崎出羽守だ! 千姫はおれが救い出す。貴様なんか指一本触れさすものか! けっ、けっ、けっ!」
あたりに構わぬ大きな声で呶鳴っていたが、妙な笑い声を最後にやっと受話機を掛けると、土門は、「長い電話を掛けさせやがった」と言いながら、豹一の席へ戻って来た。
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