られないからね、不気味ではあるな。いまはこの風潮は大いにすたったが、しかし昔は盛んだったね。いや、全くの話が、プラトンかソクラテスかどっちかが言っているように、男の肉体というものは女の肉体より綺麗だからね。彫刻を見ればわかるじゃないか。だから美意識の異常に発達した、たとえばうちの編輯長の如きが大いにこの趣味を解するのも無理はないね。君、編輯長に気をつけ給え。いや、これは臆測に過ぎんがね。しかし、どうもあの編輯長は臭いね。というのは、全然女に興味がないらしいんだ。それがあやしい。社の創立当時のことだがね、丁度夏だったもんで、奴さん褌一つで駆けずりまわる――のはおかしいか。駆けずりまわるときはさすがに洋服は着込んでいたらしいが、さて社で記事を書くときは褌一つだったんだ。まあ、それほど大車輪で目覚しかったんです。ところが、当時社長の女秘書がいたんだ。これがまた頗る美人で、おまけに名門の出だもんで、例の遊ばせ言葉と来てるんだ。じつは、結婚してたんだが、亭主が小間使に手を出したてんで、飛び出して尖端を切った職業婦人になったという代物なんだがね。この秘書女史が編輯長と同じ部屋にいたんだが、ある日、
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