新聞記者という特権を濫用しているんだよ」
 特権という言葉が出たので、豹一は土門の考えにすっかり共鳴してしまった。もっとも土門はその言葉をいうとき、ニキビをつぶしていた。いや、つぶす真似をしていた。
「咽喉が乾いた。珈琲もう一杯のもう」土門は新しい珈琲が来るとまた喋り続けた。「しかしまあ、とにかく名刺を作ることだね。君のような可愛い顔をした男が、半鐘が鳴って火事場に駆けつけても、名刺が無ければ通してくれないからね。八百屋お七が変装して吉三に会いに来たと思われるぜ。――失敬、失敬、そう怖い顔をするなよ。いや実際君の顔は可愛いよ。おれに変態趣味があれば、君に申込むね。全く、君はにくらしいほど美少年だ。僕は僕の少年時代を想い出すね。君とそっくりだった」
 豹一は危く噴きだすところだった。なにも豹一は自分を美少年と想っているわけではなかったが、しかし、不細工だと形容するほかの無い土門のそんな言葉には、さすがにあきれてしまった。土門はなおも洒蛙々々と続けた。
「君、用心すると良いよ。君のような美少年は危い。相手が女だとあれば、君も大いにやに下っても良いが、しかし、男に目をつけられるのは、目もあて
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