かったという意味になるが、実はその意志がなかったんだ。序でに言っとくと、僕は副部長待遇です。君、いいだろう? 『待遇』ってのは……。嬉しいじゃないか。え、へ、へ。そこでだね。君に教える第一のことは、先ず名刺をつくることだ。名刺を持たない新聞記者ってものは余っ程怠け者か、――この僕の如き――それとも余っ程腕利きのどちらかで、まあ、とにかく聞《ぶん》屋には名刺が要るもんだね。といったって、べつに聞屋が威張って良いというわけじゃないよ。聞屋の威張れるのは火事場だけだ。そう思って置けば、間違いないね」
「僕もそう思います」豹一は我が意を得たという顔で言った。
「そら良え現象や。ところが、威張る新聞記者は佃煮にするほどいますわい。なるほど、威張ろうと思えば、威張れるがね。しかし威張って良い理由はどこにも無いんだ。たとえば、よく使われる例だが、失業した新聞記者は水をはなれた魚のようにみじめなんだ。してみるとだね、てめえらが威張れたのは、てめえら自身の、――変ないい方だが、――人格ではなくて、実は背景になっている新聞のおかげだ。つまり、虎の威を借りている、といっては月並かな。君あれだよ、つまるところ
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