いたのだった。(親やったら息子の儲を取るのは、こら当然や。あ、痛、痛! あいつはもう一人前の月給取やさかい、父親には下宿代を渡さんならん義務があるネや。それぐらいあいつでも知ってくさるやろ。高等学校まで行きやがって、それ知らんのやったら、こら学校の教育方針がわるいネやぞ)
安二郎は豹一がいまは一人前の月給取であることに、父親の顔で悦に入った。
丁度その時、戸外にしょんぼりした足音がして、今日失業したばかりの豹一が帰って来た。道頓堀の勝に撲り倒された屈辱をもて余して、当もなく夜更の街をさまよい歩き、もう十二時近かった。
豹一は安二郎の寝巻姿を見て、途端に胸が塞がった。安二郎の着物を畳んでいる母の姿が眼に痛かった。
「どないしてん? えらい遅かったやないか」お君が言ったが、豹一は返辞をせず、さっさと二階へ上ってしまった。むろん安二郎にも挨拶一つしなかった。
そんな豹一にお君はふっと取りつく島のない気持を感じたが、しかしお君はそれを苦にもせずえらい物言わずの子やなあと、ただそれだけだった。しかし、豹一の寒そうな後姿を見て、
(オーバーたらいうもん買うてやらんならん)
この頃針仕事の
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