てしまった。
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ジャズで踊って、リキュルでふけて、
明けりゃダンサーの涙雨
[#ここで字下げ終わり]
 北山はしわがれた声で歌い出した。踊子たちはくすくす笑い出した。しかし、銀子は笑えなかった。踊りが済むと、銀子は楽屋へ駆け込んで、窓側にしょんぼり坐った。次の幕の衣裳をつける気もしなかった。泣けもしない顔を窓にくっつけていると、
「銀ちゃん、何してるの?」寄って来た踊子は、ふと路次を見て、「あら、誰や倒れたはるわ。銀ちゃん、見て御覧」
 銀子はいきなり子供のように声をあげて、
「みんな来て御覧! 誰や倒れてはるし」
 どやどやと窓側に寄って来た。
「ほんに。――喧嘩やろか」
 豹一はしょんぼり立ち上って、すごすご路次を出て行った。道頓堀の勝はとっくに姿を消していた。

      二

 薄暗い電燈の下で、お君は仕立物の針仕事をしていた。
 下寺町の坂を登って来る電車の音や、表を通る下駄の音は凍てついた響きに冴えて、にわかに夜が更けたようだった。お君は針の目に糸を通しながら、豹一の帰りのおそいのを想った。夜業でおそくなることもあるが、しかしこんなにおそいのははじめ
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