ですき焼きをした。豹一ははじめて、
「僕はもう三高を止《よ》す」と言い、理由を訊かれたので、落第すれば秀英塾では給費を断る規定になっているのだと、説明した。
「もう君達にも会われないな」そう言った拍子に、急に眼の裏が熱くなって来た。結局何の意味もない三高生活だったが、赤井と野崎を知ったことがせめてもだと、さっきからそのことばかり考えていたのだった。
「止めなくても良いと思うがな」と赤井は言って、暫く深刻な顔をして考え込んでいたが、ふと顔をあげて、
「名案があるぞ、共済会へ頼んで家庭教師の口を見つけて貰うんだ。そうして野崎と僕の部屋で三人一緒に下宿したら、下宿代は助かる。ねえ、そうしろ、そうしろ」
「そや、そや。家庭教師がええ。三人一緒に下宿したら面白いやないか」野崎も言った。豹一は嬉しかった。自分の貧乏がこうして話題になっていることも、不思議に、恥しく思えなかった。しかし、三高を止す決心は変らなかった。
 豹一の三高を止める決心が容易に翻らないと分ると、赤井と野崎はしんみりと酒をのんだ。そして、酔が廻って来ると、彼等がもうあと三年いるべき学校を、口を極めて罵倒した。もうこれがお別れだと
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