生やぜ」
種吉はもう普通の声であった。ひとに怒ったり出来ぬ男なのだ。
「きついことテ、そら種はん邪推や。わいはなにもそんな気イで言うたんとちがう。当てこすったんとちがう。悪う思いなや。お前が因業な親爺や思たら、わいかテあの時ただの俥ひくもんかいな。だいいち、お前はなにもあの娘を無理に芸子にだしたんとちがうやないか」
「そら、そう言えば、そやけど……」
「そやろ? お前がいやがる娘を無理にそうしたんやったら、そらわいの言うた言葉《こと》に気がさわらんならんやろ。しかし、お前はかえってあの娘が芸子になる言うたのを反対打ったぐらいやないか。お前かテもと言うたら、わいと派アが一緒や。本当は大事な娘を水商売に入れるのんはいややねんやろ?」
「そや。ええこと言うてくれた。他あやん、ほんまにそやねん。わいはなにも娘を売って左団扇でくらす気はないねん。げんに、わいはあの子が出る時、あの子に借金負わすまい思て、随分そら工面したくらいやぜ、そらお前も知っててくれるやろ」
「知ってるとも。――まあ、掛けえな。そない立ってんと」
上り口のほこりを払って、座蒲団を出してやると、種吉は、
「ああ、構《かめ》へ
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