ここで良え!」
突っ立ったまま、
「――胸に手エあてて、とっくり考えてみイ」
精一杯の見幕をだしたつもりだったが、もともと種吉は気の弱い男で、おろおろと声がふるえて、半泣きの顔をしていた。
「さあ、なんぞ言うたかな」
「芸者がどないか、こないか言うたやろ。他あやん、お前わいになんぞ恨みあんのんか。えッ? お前に腐った天婦羅売ったか」
「ああ、そのことかいな。そう言うた」
他吉は思い当って、
「――それがどないしてん?」
「芸者がなにが悪いねん?――そら、他あやんとわいとは派アがちがう。しかし、なにもわいが娘を芸者にしたからというて、あない当てこすらいでもええやないか。だいいち、お前あの時どない言うた……?」
……蝶子がお披露目する時、他吉はすこしでも費用が安くつくようにと、自身買って出て無料の俥をひいてやったが、その時他吉は……、
「……わいも今まで沢山《ぎょうさん》の芸子衆を乗せたが、あんな綺麗な子を乗せたことがない、種はん、ほんまに綺麗やったぜエ――と、言うたやないか」
「そやったな」
三年前のことを想いだして微笑していると、
「それを今更あんなきついこと言うテ、どだい殺
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