ラ婆さんは半分喧嘩腰だった。
 そんな押問答の最中に、君枝は眼をさました。
 小さなあくびが突然とまった。
「ああ、おばちゃん」
 君枝は飴でおぼえていた。
「君ちゃん、起きたんか」
 婆さんはいつの間にか君枝の名を知っていて、
「――いま、おばちゃん、御飯たいたげるさかいな、待っててや」
「おばちゃん、今日からうちへ来やはるの?」
 君枝は起きだして来た。
「さあ?――」
 婆さんは他吉の顔を見あげた。
 他吉はわざと汚ったらしく手洟をかんで、横を向いた。
「君枝、まだ早い。寝てエ」
 他吉は君枝を叱ったが、しかし、君枝が婆さんの袂にあらかじめはいっていた飴玉を貰う時には、もう叱らなかった。
 飯が炊けると、オトラはお櫃にうつそうとした。
 部屋の中を掃除していた他吉は、飛んで来て、しゃもじ[#「しゃもじ」に傍点]を奪い御飯を仏壇の飯盛りにうつした。
 そして、
「おばはん、もう帰り。――帰らんかッ!」
 と、言った。
 相当きつい見幕だったので、オトラは驚いて帰って行った。
 が、彼女は他吉が俥をひいて出て行ってから、こっそりやって来たらしい。
 羅宇しかえ屋の婆さんが、夜女湯で一
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