たことが、生きて来るのや」
他吉は呟いた。
翌日、玉堂が来た時、他吉は、
「わいもベンゲットの他あやんと言われた男や。孫ひとりよう満足に育てることが出来んさかい、ややこしい婆さんを後妻に入れたと思われては、げんくそがわるい」
と、言って、断ってしまった。
ところが、翌朝、他吉が竈の前にしゃがんで、飯をたいていると、
「佐渡島はんのお宅はこちらでっか」
という声といっしょにその婆さんがはいって来た。
そして、あっけにとられている他吉を押しのけて、
「わてが炊きま」
竈の前にしゃがんで、懐ろから紐をだして来て、たすき掛けになり、
「あんたはあがって、懐手しとくなはれ」
五十一ときいたが、竈の火が顔に映って、随分若く見えた。
「おまはん、朝っぱらひとの家へはいって来て、どないしよう言うねん?」
やっとそれだけ他吉が言うと、
「手伝いに来ましてん」
と、とぼけた。
相手が女では「ベンゲットの他あやん」を見せるわけにもいかず、
「うちは手伝いさん頼んだ覚えおまへんぜ」
「ああ、わてかて頼まれた覚えおまへんけど、なにも銭もらお言うネやなし、そないぽんぽん言いなはんな」
オト
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