えとこイ行ったはる。南十字星見ながら死にはったんやもん。見たい見たい思てはった南十字星見ながら、行きたい行きたい言うたはったマニラへ到頭行かはったんや。お祖父ちゃんの魂は〆さんより早よマニラへ着いたはりまっせ」
 と、言った。
 鈴《りん》の音が揺れた。
 次郎はふと君枝の横顔を見て、ああ、他あやんに似ていると、どきんとした咄嗟に、今度は自分たちがマニラへ行く順番だという想いが、だしぬけに胸を流れた。
 他あやんはついぞこれまで、言葉に出しては、アメリカの沈船を引揚げにマニラへ行けとは言わなんだけれど、〆団治が南方へ旅立つその日、マニラへの郷愁にかりたてられて、重い病気をおして星の劇場へ行き、南十字星を見ながら死んだのを見れば、もう理窟なしに、お前もマニラへ来いと命じられたのも同然だ、いや、君枝を娶った時からもうことは決っていたのだ。これが佐渡島他吉一家の家風だという想いが、なにか生理的に来て、昂奮した胸を張ると、壁の額の写真が眼にとまった。
 鈴の音がしきりに揺れた。
「良えとこイ行きなはれや」
 羅宇しかえ屋の婆さんは泣きながら、
「――寒い時に死んでも、他あやん、お前は今頃は暑い
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