その言葉をきいていると、君枝は思いがけぬ持子の不幸が、かえって一家を明るくしているにちがいないと思った。
「ちょっとうちにも抱かしとくなはれ」
赤ん坊を抱かせてもらった。
「――良う肥えたはりまんな」
「へえ、そらもう、郊外で空気はよろしおまっさかい」
おたかは言った。
別れて、病院へ戻ると、夜、君枝は次郎の寝台の傍で産衣を縫うた。七ヵ月さきに生れるとの産婆の言葉だった。
次郎は見て眼が熱くなり、
「ああ、魔がさしてた。潜水夫やめよう思たんは、あれは気の迷いやった。怪我した足が泣いとる。元の身体になったら、はよ潜れ言うて、泣いとる」
ひとりごとのように言い、そして、しみじみと、
「――お前にも苦労させるなあ。済まんなあ」
と、手を合わさんばかりにした。
「阿呆らしい。水臭いこと言いなはんな」
君枝はいつもの口調で言い、そしてこくりこくり居眠りをした。
他吉はそんな風に君枝が働きだしたのを見て、貧乏人の子はやっぱり違うと喜び、
「せえだい働きや」
と、言い言いして、さもありなんという顔でうなずいていたが、それから半月ばかり経ったある日、ふと君枝がおしめを縫うているのを見
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