あこのまま放って置いたら、ますます道楽しやはる一方や。やっぱり、あんたが帰ってあげんと……」
 日が暮れて、蝶子は粉雪をかぶりながら帰って行った。
 君枝は帯の間に手を差し入れて、暫らく考えこんでいたが、やがて路地を出て行くと、足は市電の停留所へ向いた。
 電車が大正橋を過ぎる頃、しとしと牡丹雪になった。
 境川で乗り換えて、市岡四丁目で降りた。そこから三丁の道はもう薄白かった。傘を持って出なかったので、眉毛まで濡れたが、心は次郎なつかしさに熱く燃えていた。
 ところが、鍵が掛っていた。合鍵をもっていたので、あけて中にはいった。手さぐりで燈りをつけ、見渡すと、火の気ひとつなく、寒むざむとしていた。
 火をおこし、火鉢の傍で何時間か待ったが、次郎は戻って来なかった。この雪の晩にどこを飲み歩いているのかと、君枝は身動きひとつしなかった。
 犬の遠吼えがきこえた。
 だんだん夜が更けて来た。
 炬燵に炭団を入れていると、荒あらしく戸を敲く音がした。
 玄関へ出て見ると、見知らぬ人が立っていて、お宅の主人がトラックにはね飛ばされて、大野病院へはいっているという知らせだった。君枝は立ったまま、ぺ
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