思たらその筋へ行ってきいて見なはれ」
「そやろか?」
他吉はがっかりした顔だった。
「それに、よしんば行けたとしても、いま、お祖父やんに行かれてしもたら、淋しゅうて仕様ない。なあ〆さん」
「そやとも、他あやん、お前が行かんでもマニラは治まる。お前が行てしもて見イ、わいはひとりも友達が無いようになるがな」
〆団治にも言われると、
「それもそやなあ」
と、他吉は精のない声をだした。
「――お前ら寄ってたかって巧いこと言いくさって、到頭マニラへ行けんようにしてしまいやがった。しかし、言うとくけど、これは今だけの話やぜ。行ける時が来たら、誰が何ちゅうてもイの一番に飛んで行くさかい、その積りで居ってや」
これが僅かに他吉の心を慰めた。
「宜しおますとも、その時はその時の話、とにかくようマニラ行き諦めてくれはりましたな」
君枝は次郎と他吉の顔をかわるがわる見ながら、
「――そんなら、今も言うた通り、明日からこの家へ来とくなはれや。荷物はうちが便利屋に頼んで、持って来てもらいまっさかい」
そう言うと、他吉は、
「お前までわいに隠居せえ言うのんか。なんの因果でわいが河童路地を夜逃げせんなら
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