者めいた渋い表情であった。
 とりわけ、他吉は精一杯にふるまい、もし君枝が鶴富組の主人に気に入らねばどうしようという心配も、はらはら顔に出ていた。
 君枝の器量は他吉の眼からも、人並みすぐれて見えたが、そんなことは次郎はともかく鶴富組の主人にはどうでも良い筈だ。
 だから、他吉にしてみれば、君枝を何ひとつ難のない娘に育てたという気持は、ひょっとすれば大それた己惚れであるかも知れず、それに比べて、次郎は三日前鶴富組の主人が他吉に語ったところによると、人間はまず年相応に出来ているし、潜りの腕もちょっと真似手がなく、おまけに眼もおそろしく利いて、次郎が潜ってこれならばと眼をつけた引揚げ事業で、これまで失敗したことがないということだ。
「――今やって貰っている仕事は、ほんのけちくさい仕事で、花井君には気の毒なようなもんだが、しかし、これが済むと、大きな奴がある。今ちょっとここで言うわけにはいかぬが、日本のサルベージでなくてはちょっと手が出せぬという……、そう、沈船浮游だ。これに花井君の身体がどうしても要るのだ」
 へえと他吉は感心して、さそくに話を纒める肚がきまったのだ。
「――それに何ですよ
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