蚊帳の中から他吉の声が来た。
「――もうこれから、どんなことあっても、次郎ぼんと会うたら、あきまへんぜ。次郎ぼんにもそない言うとく。次郎ぼん今どこに住んどオるねん?」
 それから五日経った夜、他吉はなに思ったか、いきなりこんなことを言いだした。
「お前ももう年頃や。悪い虫のつかんうちにお祖父《じ》やんのこれと見込んだ男と結婚しなはれ。気に入るかどないか知らんけど、結婚いうもんは本人同志が決めるもんと違う。野合《どれあい》にならんように、ちゃんと親同志で話をして、順序踏んでするもんや。明日の朝が見合いいうことに話つけて来たさかい、今晩ははよ寝ときなはれ」
「うち、いややわ」
 君枝はもう半分泣きだしていた。
「なんぜ、いややねん? なんぞ不足があるのんか?」
「そらそやわ。そない藪から棒に見合いせえ言うたかて、何したはる人かわからへんし……」
「お前にはわからんでも、お祖父やんには判ってたらそいで良え。まさか、肥くみもしとれへんやろ?」
「写真もまだ見てへんし……」
「写真、写真て、写真がなにが良えのや。次郎ぼんに写真きちがいを仕込まれやがってエ……」
 叱っているが、眼だけは和や
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