銭の薄い商売やさかい……」
「何言うてねん? なにも写真屋が商売とちがう。写真は道楽にやったはるだけや」
君枝が言うと、他吉は、
「道楽……?」
と、聴き咎めて、
「――ほんなら、何商売して食べとんねん、あいつは……?」
「潜水夫したはんねん」
次郎から聴いたことをすっかり話すと、他吉は唸った。
「えらい奴ちゃ。人間は身体を責めて働かな嘘や言うこと忘れよらん。あいつはお前、夕刊配達しとった時から、身体を責めて来よった奴ちゃし、わいがよう言い聴かせといたったさかいな」
他吉はなんとも言えぬ上機嫌な顔になったが、しかし、それならそれで、次郎ぼんの奴なぜ路地へ挨拶に来ん、君枝だけにこっそり会うのはけしからんとすぐ眼を三角にして、
「――それにしても、君枝、若い男と女がべたべたボートに一緒に乗って良えちゅう訳はないぜ。だいいち、ボートがひっくりかえったらどないすんねん?」
「それは大丈夫や。次郎さんは潜水夫[#「や」が欠如か]さかい、ひっくり返ったかて……。潜水夫の眼エから見たら、中之島の川みたいなもん、路地の溝みたいなもんや言うてはった。大浜の海水浴は池みたいなもんやて……」
「いち
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