若い男と公園でボートに乗ってたやろ?」
睨みつけると、
「お祖父ちゃん見てたの?」
と、君枝はどきんとしたが、知れたら知れたで、かえって次郎のことが言い易くなったと思い、
「――それやったら、声掛けてくれはったら、良かったのに。次郎さんかて喜びはったのに……」
「次郎さんてどこの馬の骨や?」
「蝙蝠傘の骨を修繕したはった人の息子さんや」
君枝はくすんと笑った。
「次郎ぼん――かいな」
「そや」
「ほんまに次郎ぼんか」
他吉の眼はちょっと細まった。
「なにがうちが嘘いうもんかいな」
君枝は昨日次郎ぼんにあったいきさつを話して、
「――これ、次郎ぼんが引伸してくれはってん」
マラソン競争の写真を見せると、他吉もその写真のことは知っていて、
「こらまた、えらい大きに伸びたもんやなあ。ほんまに、これ次郎ぼんが引伸したら言うもんしよったんか。ふうん。ほな、次郎ぼん、もう一人前の写真屋になっとるんやなあ。――銭渡したか」
「そんなもん受け取りはるかいな」
「なんぜや? なんぜ受け取れへんねん? 商売やないか。うちだけただにして貰たら、済まんやないか。きちんと渡しときんかいな。どうせ、口
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