に出かけて、まだ帰っていなかった。
「今日びはもうなんや、落語も漫才に圧されてしもて、わたいらはさっぱり駄目ですわ。なんせ漫才《むこさん》は二人掛り、こっちは一人やさかいな。一日に一つ小屋をもたしてくれたらええとせんならんけど、それも人気のある連中のことで、わたいらみたいなもんは年中あぶれてますわ。といって、今更漫才の仲間入りも出けんさかいな」
半袖を着た〆団治が西瓜の種を吐きだしながら言うと、相変らず落ちぶれている相場師が、
「えらい藪蚊や」
と、団扇でそこらぱたぱた敲きながら、
「――〆さん、おまはん一ぺんぐらい、寄席の切符くれても良えぜ。わいもおまはんと長いこと附合うてるけど、今まで一ぺんだって切符くれたことがあるか? ほんまにけちんぼやぜ」
「そない毒性な言い方しイな。いまに遣るわいな」
「遣る、遣るて、おまはんはなんぼ口が商売か知らんけど、日の丸湯の鑵といっしょで湯(言う)ばっかしや。――なあ、お婆ん、そやろ?」
「そうだすとも。大体〆さんは宣伝たら言うもんが下手くそや。みんなに切符くばって、寄席へ来てもろて、あんたが出る時、ようよう〆団治いうて、パチパチ手エ敲いて貰うよ
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