飛んでしもうた。
ヤトナの儲けでどうにか食いつないでいるものの、そんな風に柳吉の使い方がはげしいので、だんだん問屋の借りも嵩んで来て、一年辛抱した挙句、店の権利の買手がついたのを倖い、思い切って店を閉めることにした。
店仕舞いの大投売りの売上げ百円余りと、権利を売った金百二十円と、合わせて二百二十円余りの金で問屋の払いやあちこちの支払いを済ませると、しかし十円も残らなかった……。
「……蝶子はんもお気の毒な人やわ。折角維康さんを一人前にして、維康さんのお父さんに、水商売をしてた女に似合わん感心な女や言うて認めて貰おう思たはるのに、維康さんがぼんぼんで、勘当されてても親御さんの財産が頭にあるさかい、折角剃刀店しはっても、一年経つか経たぬうちに、到頭そんな風に店を閉めはって、飛田の近所に二階借りしやはったそうでんねん……」
君枝がそう語ると、
「へえ? そうですか。それから、どないしやはったんです?」
蝶子と柳吉の消息を知りたいという気持よりも、君枝の話を並んで歩きながらききたいという気持から、次郎は言った。君枝は声が綺麗だった。おまけに、次郎には久し振りの大阪弁だ。
「それから、
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