ニイチエ雑観
超人の如く潔き没落を憧憬するニイチエの日本精神に就て
生田長江

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)駱馬《ラーマ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)表面上|波斯《ペルシヤ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#濁点付き片仮名ヱ、1−7−84]
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 たとへ大多数の通俗社会主義的民主々義的批評家等や、彼等の無反省な白人的優越感と近代的先入見とから遠くかけ離れてゐないアナトール・フランス、バアナアド・シヨオ程度の著作家等が、私達のこの日本に関してどんな事を言ひ来たつてゐたにもせよ、今尚言ひ続けてゐるにもせよ尚且つ厳密に天才者と言はるべき程の天才者等は、全く何等の除外例もなく、悉く皆、内面的な意味での貴族主義者であり、従つてさうした意味での貴族主義精神の「本場」である日本に対して日本的な一切の物に対して、限りなく深い憧憬と愛着とを持つてゐた。
 さて、彼等の中に於ても私共の特別に愛着してゐる者に就て言へば、第一はハイン
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