の内面生活の上にかうした変化を経験したのだ。彼は芸術家的に、今の所最初の独逸的日本人である――同封の、彼に関する新聞記事を読んで御覧!)
私は※[#濁点付き片仮名ヱ、1−7−84]ネチアにゐるのが好きだ。あそこでは易々と日本風にやつて行けるからだ――つまり、それをやるのに必要な二三の条件があそこにあるんだよ」
アレヴイイのニイチエ伝によれば、ニイチエは右の手紙の書かれたより少し以前に、独逸を去るに先立つて、彼の旧友ザイトリツツ男爵をミユンヘンに訪ねた。そして日本美術の珍らしい蒐集を見せて貰つて、稍羨望を禁じ難かつた程の深い興味を覚えたといふのである。
シヨオペンハウエルの有名な「意志及び表象としての世界」が、仏教思想をその根本的基礎にとつてゐるといふことに就いては、読者諸君の殆んど総てが、少くとも何程かを耳にされて居ることであらうと思ふ。
ところで、私の見るところを言へば、我がフリイドリツヒ・ニイチエの哲学がまた、表面上|波斯《ペルシヤ》の古代宗教思想の継承でゞもあつたかの如く見えてゐるにも拘らず、内実はそれよりも、ずつと余計に、仏教思想と深い縁類関係を有つて居ることを知らなけ
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