江戸の玩具
淡島寒月

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)跳《はね》たり

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)東海道|亀山《かめやま》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)かき込め/\
−−

 浅草の飛んだり跳《はね》たり
 右は年代を寛政といふ人と文政頃といふ人とあり、原品は東海道|亀山《かめやま》お化《ばけ》とて張子にて飛んだりと同様の製作にて、江戸黒船町辺にて鬻《ひさ》ぎをりしを後、助六《すけろく》に作り雷門前地内にて往来に蓆《むしろ》を敷きほんの手すさびに「これは雷門の定見世|花川戸《はなかわど》の助六飛んだりはねたり」と団十郎の声色《こわいろ》を真似て売りをりし由にて、傘の飛ぶのが面白く評判となり、江戸名物となりけるとの事。後は雷門より思ひ寄り太鼓を冠《かぶ》りし雷を造り、はては種々の物をこれに作り売りける由。安政に雷門の焼け失せしまでは売りをり、後久しく中絶の処、十余年前よりまたまた地内にて売るを見
次へ
全6ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
淡島 寒月 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング