》した。
四
村長は高山の依頼を言い出す機会《おり》の無いのに引きかえて校長細川繁は殆《ほとん》ど毎夜の如く富岡先生を訪《と》うて十時過ぎ頃まで談話《はなし》ている、談話《はなし》をすると言うよりか寧《むし》ろその愚痴やら悪口《あっこう》やら気焔《きえん》やら自慢噺《じまんばなし》やらの的になっている。先生はこの頃になって酒を被《こうむ》ること益々《ますます》甚《はなは》だしく倉蔵の言った通りその言語が益々荒ら荒らしくその機嫌《きげん》が愈々《いよいよ》難《むず》かしくなって来た。殊《こと》に変わったのは梅子に対する挙動《ふるまい》で、時によると「馬鹿者! 死んで了《しま》え、貴様《きさま》の在《あ》るお蔭で乃公《おれ》は死ぬことも出来んわ!」とまで怒鳴ることがある。然し梅子は能《よ》くこれに堪えて愈々|従順《すなお》に介抱していた。其処《そこ》で倉蔵が
「お嬢様、マア貴嬢《あんた》のような人は御座《ごわ》りませんぞ、神様のような人とは貴嬢のことで御座《ござ》りますぞ、感心だなア……」と老の眼に涙をぼろぼろこぼすことがある。
こんな風で何時《いつ》しか秋の半《な
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