二少女
国木田独歩
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)吾妻下駄《あずまげた》の
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)月色|街《ちまた》に満つる
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)眼※[#「目+匡」、第3水準1−88−81]《まぶち》を
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)内々《ない/\》
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
上
夏の初、月色|街《ちまた》に満つる夜の十時ごろ、カラコロと鼻緒のゆるそうな吾妻下駄《あずまげた》の音高く、芝琴平社《しばこんぴらしゃ》の後のお濠ばたを十八ばかりの少女《むすめ》、赤坂《あかさか》の方から物案じそうに首をうなだれて来る。
薄闇い狭いぬけろじの車止《くるまどめ》の横木を俛《くゞ》って、彼方《むこう》へ出ると、琴平社の中門の通りである。道幅二間ばかりの寂しい町で、(産婆)と書いた軒燈《がす》が二階造の家の前に点《つい》ている計りで、暗
次へ
全20ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
国木田 独歩 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング