》の好《よ》い土地柄《とちがら》の故《せい》でもあらう。
處《ところ》が此《この》アルゼリヤ國《こく》の中《うち》でブリダアといふ市府《まち》の人《ひと》は分《わけ》ても怠惰《なまけ》ることが好《す》き、道樂《だうらく》をして日《ひ》を送《おく》ることが好きといふ次第である。
佛蘭西人《フランスじん》が未《ま》だアルゼリヤを犯《おか》さない數年前《すねんぜん》に此ブリダアの市《まち》にラクダルといふ人《ひと》が住《す》んで居《ゐ》たが、これは又た大《たい》した豪物《えらぶつ》で、ブリダアの人々から『怠惰屋《なまけや》』といふ綽名《あだな》を取《と》つて居《ゐ》た漢《をとこ》、この漢《をとこ》と比《くらべ》て見《み》ると流石《さすが》のブリダアの市人《まちびと》も餘程《よほど》の勤勉《きんべん》の民《たみ》と言《い》はんければならない、何《な》にしろラクダルの豪《えら》い證據《しようこ》は『怠惰屋《なまけや》』といふ一個《ひとつ》の屋號《やがう》を作《つく》つて了《しま》つたのでも了解《わか》る、綉工《ぬひはくや》とか珈琲屋《かうひいや》とか、香料問屋《かうれうとひや》とか、それ/″
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