節操
国木田独歩
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)房《ふさ》、奥様《おくさん》の出る時何とか言つたかい
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一杯|吸《す》へないなんて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き](明治40[#「40」は縦中横]年9月「太陽」)
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)忌々《いま/\》しさうに
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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『房《ふさ》、奥様《おくさん》の出る時何とか言つたかい。』と佐山銀之助《さやまぎんのすけ》は茶の間に入《はひ》ると直《す》ぐ訊《きい》た。
『今日《けふ》は講習会から後藤様《ごとうさん》へ一寸《ちよつと》廻《まは》るから少《すこ》し遅くなると被仰《おつしや》いました。』
『飯《めし》を食《くは》せろ!』と銀之助は忌々《いま/\》しさうに言つて、白布《はくふ》の覆《か》けてある長方形の食卓の前にドツカと坐《す》はつた。
女中の房《ふさ》は手早く燗瓶《かんびん》を銅壺《どうこ》に入れ、食卓の布を除《と》つた。そ
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