石清虚
國木田獨歩

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)雲飛《うんぴ》といふ人は

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|切《さい》頓着《とんぢやく》せず、

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)安然《あんぜん》[#「然」に「ママ」の注記]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)こう/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 雲飛《うんぴ》といふ人は盆石《ぼんせき》を非常に愛翫《あいぐわん》した奇人《きじん》で、人々から石狂者《いしきちがひ》と言はれて居たが、人が何と言はうと一|切《さい》頓着《とんぢやく》せず、珍《めづら》しい石の搜索《さうさく》にのみ日を送つて居た。
 或日《あるひ》近所《きんじよ》の川《かは》に漁《れふ》に出かけて彼處《かしこ》の淵《ふち》此所《こゝ》の瀬《せ》と網《あみ》を投《う》つて廻《ま》はるうち、ふと網に掛《かゝ》つたものがある、引《ひ》いて見たが容易《ようい》に上《あが》らないので川に入《はひ》つて探《さぐ》り試《こゝろ》みると一抱《ひとかゝ
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