少年の悲哀
國木田獨歩
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)少年《こども》の
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)月影|鮮《さ》やかなる
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)水のけじめ[#「けじめ」に傍点]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)あり/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
少年《こども》の歡喜《よろこび》が詩であるならば、少年の悲哀《かなしみ》も亦《ま》た詩である。自然の心に宿る歡喜にして若《も》し歌ふべくんば、自然の心にさゝやく悲哀も亦《ま》た歌ふべきであらう。
兎《と》も角《かく》、僕は僕の少年の時の悲哀の一ツを語つて見やうと思ふのである。(と一人の男が話しだした。)
* * *
僕は八歳《やつつ》の時から十五の時まで叔父の家《うち》で生育《そだつ》たので、其頃、僕の父母は東京に居られたのである。
叔父の家は其土地の豪家で、山林田畑を澤山持つて、家に使ふ男女も常に七八人居たのである。
僕は僕の少年の時代を田舍
次へ
全14ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
国木田 独歩 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング