し、私は気が気でならず、もし盲目《めくら》になったらという一念が起るたびに、悶《もだ》え苦しみました。
 ここに怪しいことのございますのは、お俊の様子がひどく変ったことでございます、なんとなく私を看護するそぶりが前のようでなく、つまらぬことに疳癪《かんしゃく》を起して私につらく当るのでございます。そして折り折りは半日もいずれにか出あるいて帰らぬこともあるのです。私は口に出してこそ申しませんが、腹の中は面白くなくって堪りません。ところがある日のことでございました、『御免なさい』と太い声で尋ねて来た者があります。
『いらっしゃい』とお俊は起ってゆきましたが、しばらく何かその男とこそこそ話をしていましたが、やがて私の枕元に参りまして、『頭領が見えました、何かあなたにお話ししたいことがあるそうです』
 なんの頭領だろうと思っていますうちに、その男はずかずか私の枕元に参りまして、
『お初《はつ》にお目にかかります、私ことは大工|助次郎《すけじろう》と申しますもので、藤吉初めお俊がこれまでいろいろお世話様になりましたにつきましては、お礼の申し上げようもございません、別してお俊が厚いお情をこうむりま
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