。娘は軒の外へ首を出して、今度はほんとに空を仰いで見たが、晴れそうにもない。霧のような雨がひやひやと襟頸《えりくび》に入るので、舌打ちして『星どころか』と微《かす》かに言ったが、荒々しく戸を閉めたと思うと間もなく家の内ひっそりとなってしまった。
[#地から2字上げ](明治三十三年七月作)



底本:「武蔵野」岩波文庫、岩波書店
   1939(昭和14)年2月15日第1刷発行
   1972(昭和47)年8月16日第37刷改版発行
   1983(昭和58)年4月10日第47刷発行
底本の親本:「武蔵野」民友社
   1901(明治34)年3月発行
初出:「太陽」
   1900(明治33)年10月発行
入力:h.saikawa
校正:noriko saito
2004年9月25日作成
青空文庫作成ファイル:
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